2019年12月18日に民事裁判判決が下された、ジャーナリストの伊藤詩織さんと山口敬之氏の性暴力被害を巡る裁判。判決は伊藤さんの勝訴、山口氏の敗訴を意味する「山口氏に伊藤さんに対して330万円の支払いを命ずる」という内容でした。
実はこの民事裁判の前に、伊藤詩織さんは刑事告発をし、裁判所は山口氏に対し逮捕状を発布し警察が山口氏を逮捕する寸前までいったにもかかわらず、寸前で逮捕が中止されるという異例の事態が起きていました。
これを受けて伊藤さんは検察審査会に審査を申し立てるも「不起訴相当」という議決がなされ、伊藤さんはやむなく民事訴訟を起こすこととなったのです。
逮捕が中止された理由がいったい何なのか?
ということで今回は『』と題しまして、山口敬之の不起訴はなぜ?理由は?伊藤詩織さん裁判控訴審はどうなるのかということについて調べてみました。
それでは本題に入らせていただきます。
山口敬之の不起訴はなぜ?理由は?
準強姦事件の逮捕は管轄署長判断案件、「刑事部長が #山口敬之 氏のそこに口を挟むのは異例」と鹿児島県警本部長歴任した小野前参院議員。中村刑事部長(当時)「逮捕は必要ないと私が決裁した」「(捜査中止については)指揮して当然」その中村氏は菅官房長官が秘書官時に評価。安倍ヨイショは当然 pic.twitter.com/UsP3ufOuio
— 日本残酷物語 絵描き屋 山田のぶゆき (@NY_murder_case) May 10, 2017
山口氏逮捕中止の決済は中村格刑事部長
逮捕中止を命じたのは当時刑事部長を務めていた中村格氏でした。
以下、今年11/29のデイリー新潮の記事を引用します。
詩織さんの刑事告訴を受け、高輪署は捜査を開始。その年の6月、準強姦容疑での逮捕状を携えた高輪署の捜査員が、機上の人となっていた山口記者を逮捕すべく成田空港でスタンバイしていた。しかし、その直前に逮捕は中止された。それは、中村氏の指示によるものだった。
警察庁の関係者によると、
「捜査1課から、捜査を担当する高輪署の刑事課長に“この件はこちらで引き取る”旨の連絡があったようです。課長は“捜査介入だ”なんて言えません。“はい、わかりました”ということで、諒とするわけです」
捜査を継いだ警視庁からの書類送検を受けた東京地検は、ほぼ1年後の16年7月に不起訴と判断。詩織さんは17年5月、検察審査会に審査申し立てを行なったものの、9月に「不起訴相当」の議決が出ている。
中村氏ご当人はかつて週刊新潮にこう話していた。
――どうして捜査の中止を命じられたんですか?
「具体的な中身は申し上げられませんけど、捜査の指揮として当然だと思います」
――捜査が中止になったということについては?「まあ、あのう、非常に、捜査としては適切な方向に、自分として判断した覚えがあります」
――なるほど。逆に、山口氏の当時の立場が問題だったんですかね?
「違います、違います。事件の中身として、私が判断(した)」
――身柄を取るには至らないという判断をされたということですね?
「それはあの、その後、その事件がどういう評価を受けているか、最後……」
――そうですね。不起訴処分になっていますね。
「そう。事件としてはそうなっているんですね。はい」
――安倍総理や菅官房長官への忖度もなかったし、その意を受けたということもなかったのですね?
「一切ありません。そんなこと、とんでもない話です」
山口記者を批判する漫画を描き、目下、彼から名誉毀損で訴えられている小林よしのり氏に感想を求めると、
「ドラマの『相棒』とかを観ていたら、警察組織内の悪ばかりを一所懸命、取り上げているんですよ。それはドラマだからだと思っていましたが、今回お聞きした件は、本当に組織が腐敗しているんだな、という感じです。この件に限らず、官僚組織があちこちで安倍総理に対する忖度をやっているんですけど、本当に由々しき事態だと思います」
小林氏は、官邸が内閣人事局を通じ、高級官僚の人事を握ってしまっていることが忖度の理由と説く。
「内閣人事局という制度は、民主党の時にやろうとしていたものだと思います。安倍政権はそれを自分たちに都合よく利用し、官僚をぜんぶ自分の子飼いにしてしまった。官僚たちは人事ばかりを気にして、出世したいから忖度がはびこるようになってしまったというわけです。誰かを罪に問うか問わないかまで恣意的に決められてしまうというのは、本当に恐ろしいことですよ。この件は、伊藤詩織さんのケースとも十分に関連がある話だと思います。詩織さんの場合は逮捕直前で、逆に捜査が中止されましたが、それはどう考えてもおかしい。裁判所から逮捕状が出ていたわけですから」
引用元:デイリー新潮
このあと、中村格氏は2016年8月より組織犯罪対策部長兼生活安全局付兼刑事局付兼官房付、2017年8月10日から総括審議官兼警備局付、2018年9月14日より警察庁長官官房長に就任しています。
警察庁長官官房長どれほどの位置にあるのかというと、警察庁HPの国の警察機構図のよると、
①内閣総理大臣 →②国家公安委員会 →③国務大臣たる委員長 →④警察庁 →⑤警察庁長官
という図になっていました。
官房長官というのが警察庁長官の中のどの位置にあたるかは不明ですが、とにかく内閣総理大臣に近いランクにいるということだと思います。
ここまで上り詰められるのは本当に一握りの超エリートなのでしょうね。
デイリー新潮の記事によれば、ポイントは以下になると思います。
- 官僚組織があちこちで安倍総理に対する忖度をやっている
- 官僚たちは人事ばかりを気にして、出世したいから忖度がはびこるようになってしまった。
- 逮捕直前で、逆に捜査が中止されてしまったことはどう考えてもおかしい。
安倍総理側からの指示がなかったとしても、人事を気にしてこういった忖度が行われることが当たり前になってしまっていたということですね。
山口敬之氏は2016年に「総理」(幻冬舎)という著書を出版しています。
衆院解散を決意した安倍総理が、書き上げたばかりの演説草稿を読み聞かせるほどに信頼を寄せる「私」とは、著者の山口敬之氏のことだ。
1990年、TBSに入社し報道局に配属された山口氏。これまでに社長賞や報道局長賞などの社内表彰を39度も受けたという、同局きっての「エース記者」だった。
今年5月にTBSを退社し、フリーランスのジャーナリストに転身、その直後に刊行された本書では、自民党が大敗を喫した2007年参院選から第二次安倍政権発足に至る舞台裏や、シリア情勢をめぐる官邸と米・ホワイトハウスとの緊迫したやり取りなど、政権内部の動きが克明に描かれている。
とりわけ、第一次安倍政権での参院選惨敗から総理辞任に至るドキュメントは圧巻だ。引用元:現代ビジネス
伊藤詩織さん裁判控訴審はどうなる?
東京地裁の判決を受けて、山口氏サイドは控訴する意向を示しましたので、まだこの裁判は続いていきそうです。
今回の裁判には間に合わず採用されなかったのですが、次の控訴審で鍵となるであろう陳述書の存在について書かれた記事をご紹介します。(抜粋になります)
今回の結果を受け、山口記者側の控訴は必至。控訴審での帰趨を決するのが、ある陳述書の存在だ。陳述書の作成者は、事件のあった東京・白金のシェラトン都ホテルに勤務し、事件当夜の15年4月3日、ドアマンとしてエントランスに立っていた人物である。
ドアマンは、陳述書を提出した理由について、
〈裁判所から何の連絡もないまま、もうすぐ結審するというニュースを知り、このままでは私の見たことや私の調書の存在は表に出ることなく葬り去られてしまうと考え、9月末に伊藤詩織さんを支える会に連絡をし、ようやく伊藤さんの代理人に連絡が取れ〉たからだと綴っている。
もっとも、裁判は10月7日に結審してしまっていたため、弁論再開の手続きを求めたが、認められず。つまり、今回の裁判官の判断に、ドアマンの陳述書は1フレーズも考慮されていない。〈女性は左側のドアから降ろされる時、降りるのを拒むような素振りをしました。「綺麗にしなきゃ、綺麗にしなきゃ」とまだ言っていたので、座席にとどまって車内を掃除しようとしていたのか、あるいはそれを口実に逃げようとしているのか、と思いました。それを、男性が腕をつかんで「いいから」と言いました〉
〈足元がフラフラで、自分では歩けず、しっかりした意識の無い、へべれけの、完全に酩酊されている状態でした。「綺麗にしなきゃ、綺麗にしなきゃ」という様な言葉を言っていましたが、そのままホテル入口へ引っ張られ、「うわーん」と泣き声のような声を上げたのを覚えています〉
〈客観的に見て、これは女性が不本意に連れ込まれていると確信しました〉
山口記者が主張する“合意の上だった”とは真っ向から対立する証言だ。引用元:デイリー新潮
このように、地裁では証拠として採用されなかった陳述書が今度の控訴審では考慮されることになりそうです。
これにより山口氏側がさらに不利な状況になるでしょう。
ですが山口氏側も、公判までに新たな証拠や武器を用意してくるでしょうから、どうなっていくのか、伊藤詩織さんもまだまだ気が抜けない日々が続きますね。
まとめ
ということで今回は『』と題しまして、山口敬之の不起訴はなぜ?理由は?伊藤詩織さん裁判控訴審はどうなるのかということについてお届けしてまいりましたがいかがだったでしょうか?
少々偏った内容ではありますし、様々な憶測を含んでいることをご了承いただければと思います。
それでは本日はここまでとさせていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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